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秋の夜長に小音量で音楽を聴くⅡ

K’sのリスニングルームは集合住宅であり一通りの防音設備は施してあるため、昼間は大音量で音楽を聴くことができます。
夜に大音量再生しても問題ない筈ですが、夜は中音量で再生、夜10時過ぎたらテレビの音量より小さな微小音で再生することに決めています。
しかし、「小音量で音楽を気持ち良く再生する」これほど難しいことはないと思っています。

半導体アンプ(A級)と大型スピーカーのメイン装置では、テレビを見るときの音量以上で再生しないと音痩せして、つまらない音になってしまいます。
別の言い方をすると、微小音で聴くときに「軽くレスポンスの良い低音域」、「充実してリアルな中音域」、「質量感のある爽やかな高音域」が出せません。いわゆるBGM的な音になってしまいます。

もともとオールマイティーな再生装置は無理と割り切り、小音量再生はサブシステムで管球式アンプ(プリ12AU7+12AX7のSRPP構成、メイン6SL7+2A3直結構成)で聴いていましたが、微小音で再生すると管球式アンプの宿命でS/Nが気になります。(残留雑音1mV以下なのでK’sのわがままですが・・・)
その後、アラルガンドのPA99という管球式メインアンプ(E88CC(6DJ8)+ECC99パラ接続による直結構成)に変更し、残留雑音は実測0.2mV以下になりましたが、SRPP構成の管球式プリアンプの影響なのか、厳しい言い方をすれば音のリアルティーが今一歩で、良く言えば真空管アンプらしい音になってしまいます。
この構成でも、一般的な半導体アンプと比べると充分満足できる音質で、オーディオ仲間のTさんからも「今年の夏にD社の半導体アンプからPA99に変更したら、とても良い音質となった」と聞いています。

最近のソ-スは出力電圧が高いので、メインアンプのみで再生する方法も選択肢の1つですが、プリアンプ無しでは力強さにかけてしまい、微小出力時は音痩せして聴こえます。
プリアンプは「入力切替付き減衰器」とも捉えることができますが、減衰器のように使う利得の少ないプリアンプの設計は半導体、真空管、いずれも難しいようです。

そんなところにアラルガンドのCA88という、「残留ノイズが少ない」、「本当に出力インピーダンスが低い」という、K’sの狙いにピッタリの管球式プリアンプを使ってみました。

手持ちのスピーカーを色々つないでみた結果、KEFのUni-Qドライバーと、165mmのアルミニウム製バスドライバーにパッシブラジエーターを組み合わせたQ750がベストマッチでした。

プリアンプ、メインアンプともに直結構成になった効果なのか、ボリュームを絞った微小出力時の鮮度は、今迄のプリアンプのときより遥かに優っているように思えます。
秋の夜長に小音量で音楽を聴くには最適で、小音量時のダイナミクス再現には感動します。
以前に、残留雑音が0.2mVを切ることによって「音が消えるときの静寂な佇まいと、真の無音に入っていくさまは、現代の真空管アンプの音」と述べましたが、これに加えて低音域の押し出しが、さらに強くなったと感じます。

音質への影響が大きい部分は、①リアル低インピーダンスで押せる、②直結によるカップリングコンデンサの排除、③トランスのバンドパス特性による不要帯域のカットです。
小音量再生というと「我慢して聴いている」と思われる方も多いと推測しますが、バランス良く高質な再生が実現できたときは、大音量再生では決して味わうことができない別次元の音楽再生ができます。
大音量再生の弱点で「人間の耳は大音量で再生すると迫力に誤魔化されてしまい高音質に聴こえてしまう」とも言えます。

『どんな回路のプリアンプも出力インピ-ダンスを下げる工夫によって、見かけ上の出力インピーダンスは低い値を示している』、『その見かけの出力インピーダンスが下がっただけでは、実際に負荷を繋いだときに良い結果になる訳ではない』、『高電圧/低電流素子である真空管のみを用いて実際のインピーダンスを低くするのは容易ではない』・・・。CA88では、これらがうまく解決できたと設計者から聞いています。

プリアンプを使用する最大の目的は、「パワ-アンプを最良のコンディションで駆動する」これに尽きると思います。
勿論、パワーアンプとの相性が良く、良質なプリアンプであることが前提ですが・・・。

現在販売されているCA82は真空管がECC82(12AU7)ですが、近々CA88も完成品のみラインナップされるようです。