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2012年が良い年になりますように・・・

今年は東日本大震災や原発事故の直接ならびに間接的被害で厳しい年になりました。
被災地の皆様の物凄い気力には頭がさがりますが、復興はまだまだで、長期間かかると思われるので、私たちに出来る範囲での継続的な支援こそが大切であると考えます。

Ks’にとっては、今年も多くの新しい出会いがあり、充実した年でした。
仕事は勿論、趣味の分野でも多くの方々にお世話になり感謝の気持ちで一杯です。
特にオーディオに関しては、各プロフェッショナルの皆様に技術的なことをお教えいただいたり、アドバイスをいただき、有難うございました。

今年のプライベートな目標のうち、音楽関連の目標(SACD制作やライブなど)はすべて達成できましたが、オーディオは目標を定めてなかったこともあり、大きな進化はありませんでした。

そんな中で、Ks’がオーディオ面で強く感じたことは、PCオーディオの普及は嬉しいのですが、音質評価の際に、再生楽曲、再生ソフト、サウンドデバイスの3つが明確に切り分けされてない状態での評価が多く、Bye Bye Blackbird的な考えに偏っていたこと。
さらには、DA変換を含め、それ以降のオーディオの本質的なパートを抜きで議論されていることが多いのが、残念でなりませんでした。
一番がっかりしたのは、某メーカーの宣伝用技術解説でした。
メーカーなので売ることに全力を尽くすことは当然ですが、「明らかに間違った(実現不可能な)ことを、さも本当の(実現できた)ように書くべきでない!」と思うのはKs’だけでしょうか?

趣味なので、色々な考えがあって良い訳ですが、現実のデジタルオーディオを見据えて、何処にボトルネックがあるのかを考えてみると、Ks’は「DACのリアルタイム処理で出来ることの限界」と「プリアンプ以降スピーカ迄のアナログ領域で確保できる過渡応答とDレンジ」の2点だと思います。

来年はシステム全体でこのボトルネックを解消、もしくは緩和する方法を模索し、目標を掲げて研究してみたいと思います。

では、2012年が皆様にとって、良い年になりますように・・・

一風変わった実験とアップデートのお知らせ

二週間のご無沙汰でした。SALです。
ようやくHybrid2S による傾きチャンク関係のアップデートを公開する準備ができました。

ところで、「傾きチャンクを利用してみたが、ファイルが大きくなるだけで変わらないようだが…!」
と言った感想をうかがう事があります。申し訳ないですが、今回アップデート分の Hybrid2S で今一度試してみてください。
それでも、同じと感じた方は、怒らないで読んでいただきたいのですが、実はSALの狙いもそこにあります。

つまり、誤差が 0.02% 程度から 0.001%以下になったところで、その違いは非常に判りにくいものです。
また、別の箇所にボトルネックがあれば、それこそ論外でしょう。
お気に入りのソースや、超高域成分の多いもの以外は、内蔵の傾き算出(Matrix16)機能で充分でしょう。
Hybrid2S の価値は、最終目標の傾き算出と見なせそうな点にあります。
現状では「そこまで精度を上げる必要はなさそうだ」と思ってもかまいません。
とは言っても、多少の不満もあるかと思いますので、新しい WFP4Exp.exe には、Matrix24 と Hybrid64 も内蔵させました。
新しく加わった Hybrid64 は、Hybrid2S の簡易版で128近傍から算出します。
但し、前処理時間は Mtx16→Mtx24→Hyb64 の順に長くなります。

此処からは、表題の「一風変わった実験」に移ります。
「Hybrid2S の効果が自分では聴感上判らない。」と言っているくせに、精度が良いと何故言えるのでしょうか?
「位相のずれも無く、誤差も非常に小さい」と言っても定常波での計算値に過ぎません。
非定常部分こそが調(定常波では単なる発振器)な訳ですから、どうしても聴いて判断できなければ、断定できません。

今、よく似たソースAとA’が有ったとします。
AとA’を聴き比べるのが困難でも、A-A’は「聞こえるか否か」なので、それこそSALでも判ります。
そこで、Hybrid2S 伝播関数を利用した、評価用アップサンプラー④に、
同じ技術でエイリアス部分(CDなら22.05~44.1KHz)のみに顕在化する「エイリアスモード」も、導入しました。

このモードで作成したWAVファイルを、混変調の無い装置で聴けば、アップサンプリングでの誤差(残差)だけが聞こえるはずです。
勿論、22.05KHz 以上の音が聞こえる人にはNGです。幸い、年寄りのSALには聞こえません。
結果、スーパートウィーターのマージンを見込んだ程度の出力レベルでは、何も聞こえませんでした。
(ヘッドホンでも同様でしたが、ヘッドホンの場合ボリュームを上げるのはちょっと勇気が要りました。)
つまり実際の楽曲に於いても、Hybrid2S から生じる誤差は、非可聴レベル程に低いと言えそうです。

最後に、リリース内容の概略を記します。
今回のアップデートは、以下の四つです。(他は同じ)
① 内蔵傾き算出プロシージャに、Matrix24 と Hybrid64 を追加した WFP4Exp.exe
② 上記プロシージャの切り替えを可能にする為の設定ソフト Reg4Exp.exe
③ Hybrid2S を組み込んだ傾きチャンク埋め込みソフト Gradient.exe
④ Hybrid2S 技術によるアップサンプラー Hybrid2S.exe
です。但し④のエイリアスモードは、封印しました。(解除する呪文はありません)
これは、不慮の事故を防ぐ為と、ビットデップスを16bitに限定したこととも合わせて、
「健全なPCオーディオの世界を目指す」者の一員としての配慮ですので、お許しください。

肝心のリリース時期ですが、12月22日(木)を予定しています。

エイリアスと歪について

二週間のご無沙汰でした。SALです。
今回は、「波形・音色・歪」の続編として、エイリアスに対して同様の考察をしてみたいと思います。

エイリアスが生まれる原因は、時間的離散データを連続に変換する場合の補間誤差です。
標本点の値がどんなに正確でも、補間に誤りがあれば生じてしまうことに注意してください。
前回の結果を利用する為に、DACが線形の装置か否かを考えて見ましょう。

先ず、標本点での値はビット分解能の範囲で、当然比例しているはずです。でなければ不良品です。
後は、途中の(補間)値が結果として、利用した標本値総てに対して線形であれば、線形の装置と解釈できます。
勿論、SALの考案したソフトウェアDACも傾き算出法も総て線形です。

では、これを以って「エイリアスは歪ではない」と言えるでしょうか?
前回の①式 Out(ω)=G(ω)・In(ω) を思い出してください。
歪を生じない伝播経路では、シングルトーン(単音)は、増幅度G(ω)こそ違え出力も同じ単音です。
しかしながら、エイリアスは ωs±ω、2・ωs±ω、…..
と、異なる角周波数で無数に生じます。(ωs は標本化角周波数)

線形であるにも拘らず、このように余分な成分(エイリアス達)を生じた原因は、
DACの入力が、時間的に離散量であるにも拘らず、A/D変換前のアナログの単音を理想入力としているからです。
この理想入力を In(ω) とする限り、理想のADC~現実のDAC迄のパスは前回の①式を満足しません。
即ち、エイリアスは歪であり、これを高調波や混変調と区別して「エイリアシング歪」と呼びます。
逆に、正確なソフトウェアDACのみが、G(ω)を実定数に(つまり波形そのものを)保ちます。

CD再生時にこの歪は、可聴帯域外として単にアナログフィルタ処理されています。
(fs=44.1KHz なら、エイリアスは 22.05KHz 以上です)
また、全成分の和が標本値を示すわけですから、全エイリアスに食われた分だけ、信号成分の振幅は変化します。
勿論この変化は、補間の誤差から生ずるものなので、それに見合った独特のトーンを付けてしまいます。
この色付けからの復帰も、後続のアナログフィルタの仕事です。
しかしながら、過去の値しか利用できないプリミティブな素子で構成したアナログフィルタには荷が重過ぎます。
(最初のエイリアス区間ですら1オクターブしかありません)

諺にも「エイリアスは発生源から絶たなきゃ駄目」とあります。(ウソ)
アップサンプリング機能を持ったDACの狙いはそこだとは思いますが、大事なのは精度の高い補間機能です。
中間点を入れるだけでも効果的ですが、その精度が問題です。
近傍2点の平均値(P02)や近傍四点からの三次補正(P08)程度では、「エイリアス除去」とは言えません。
やはり、ソフトウェアDACのように補間曲線そのものを高精度に算出&トレースするべきです。

最後に、現実のADCに於けるエイリアシング歪について述べてみたいと思います。
アナログソースに標本化周波数の半分以上の成分が含まれていると、そのエイリアスはシグナル帯域側に現れます。
これは、再生時に比べると遥かに困った問題ですが、再生時に除去することは最早不可能です。
CDを作る場合、アナログレベルで 22.05KHz 以上を可聴帯域に影響せずにカットすることは不可能なので、
遥かに高いサンプリング周波数(ソースに含まれる最高周波数の2倍以上)でA/D変換することになります。
一度デジタル化してしまえば、後は処理時間さえ惜しまなければ、22.05KHz 以上をシャープにカットできます。
但し、楽曲データは定常波ではないので、「内容に影響せず」とは断言できません。
しかも、再生時のマージンを考えれば、もっと手前でカットしなければいけません。